スレート屋根の塗装、各社の費用、塗装費用の内訳
スレート屋根の塗装の注意は、別ページで解説しました。今度はスレート屋根に限っての塗装の価格、費用、相場をお知らせします。 確かに相場はありますが、塗装業は比較的簡単に事業を起こすことができて、業者も多く、塗料のメーカー、塗料の種類も豊富に出回っていますので、その実態を把握するのは、かなり困難ではあります。 簡単にインターネットからの情報からその費用をまとめてみます。 全て正直な価格設定とは限りませんが、おおよその判断にはなると思います。
インターネット上に記載されている、スレート屋根材を再塗装する各塗装会社の公告において、各塗料での価格・費用をA社からM社(すいません、具体的な社名は出せないので、控えます)の13社の調査、価格の抽出をしてまとめたものを、お知らせします。
スレート屋根の塗装費用を見る時に、注意をしたことが何点かあります。まず、ここではスレート屋根の塗装を施工する費用だけを考えたいと思いますので、下地用の下塗り塗料、上塗り塗料の施工価格を比較しました。
塗装の費用は、当然材料費である塗料の価格に施工価格、職人さんの手間賃、塗装会社の儲けが含まれた金額ですが、インターネット上での表示価格はばらばらで、上塗り塗装2回での価格、スレート屋根としての上塗り塗料の仕様に沿った下塗り塗料も含めた費用だったり、スレート屋根 80㎡や100㎡での全てを含んだ金額を提示したり、その表示方法はばらばらですので、いったいどの塗装業者が良い価格なのか?区別し難いのが現状です。
なので、価格の比較は条件をできるだけ同じにして、比較するようにしました。 更に塗料の仕様、具体的な塗料の銘柄も解説しました。
良く考えて欲しいのは、まず塗装する目的をきちんと正しく認識しているか?スレート屋根の耐用年数、(ルーフィングの耐用年数)、スレート材料の耐用年数を分かって塗料を選ぶべきで、闇雲に高い塗料を選んでも、その損得が得られているか?を考えて欲しいと思います。
インターネット上に公告をしている、塗装業者で、スレート屋根の塗装価格、費用を載せているものを13社、抽出して、スレート屋根の塗装価格として比較、相場を考察するものです。 塗装会社各社価格の書き方がまちまちなので、比較できない、また記載が曖昧で比較し難いのもは、除きました。
シリコン系塗装での比較:
B社:各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●水性アクリルシリコン樹脂塗料 ¥1,920/㎡
●1液型シリコン変性樹脂塗料 溶剤一液 ¥1,920/㎡
●2液型シリコン変性樹脂塗料 ¥1,920/㎡
●水性アクリルシリコン樹脂塗料 ¥2,220/㎡
●2液型シリコン変性樹脂塗料 ¥3,100/㎡
●遮熱水性アクリルシリコン樹脂塗料 ¥3,100/㎡
C社: 上塗り2回のみの価格、費用
●水性シリコン系塗料 ¥1,400/㎡
●水性遮熱シリコン系塗料 ¥2,100/㎡
●ターペン可溶1液型シリコン系塗料 ¥1,900/㎡
●ターペン可溶2液型シリコン系塗料 ¥2,000/㎡
●ターペン可溶2液型遮熱シリコン系塗料 ¥2,200/㎡
D社: 上塗り2回のみの価格、費用
●水性シリコン系塗料 ¥1,700/㎡
●水性遮熱シリコン系 ¥2,100/㎡
E社: 各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●日本ペイント
ファインシリコンベストクール ¥2,520/㎡
●日本ペイント
スーパーシリコンベスト ¥2,940/㎡
F社: 各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●シリコン系塗装 水性シリコンベストⅡ ¥2,940/㎡
G社: 各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●シリコン塗装 ¥2,000/㎡
●弱溶剤2液型アクリルシリコン塗装
ヤネMシリコン(関西ペイント) ¥2,000/㎡
●弱溶剤1液型アクリルシリコン塗装
スーパーシリコンルーフペイント(関西ペイント) ¥2,000/㎡
●弱溶剤2液型バイオマスシリコン塗装
バイオマスR-Si(水谷ペイント) ¥2,000/㎡
●弱溶剤2液型シリコン塗装
パワーシリコンマイルドⅡ(水谷ペイント) ¥2,600/㎡
●弱溶剤1液型シリコン塗装
ファインシリコンベスト(日本ペイント) ¥1,900/㎡
●弱溶剤2液ラジカル制御型塗装
パーフェクトベスト(日本ペイント) ¥2,100/㎡
●弱溶剤2液型シリコン塗装
快適サーモSI(水谷ペイント) ¥3,200/㎡
●弱溶剤2液型アクリルシリコン塗装
クールタイトSi(SK化研) ¥2,400/㎡
●弱溶剤2液型シリコン塗装
サーモアイSi(日本ペイント) ¥2,000/㎡
●弱溶剤2液型シリコン塗装
パラサーモシリコン(日本特殊塗料) ¥2,400/㎡
H社: 各上塗り2回での価格;
●上塗り 水性シリコン ¥1,300/㎡
●上塗り、2液シリコン ¥1,600/㎡
●上塗り、遮熱シリコン ¥1,800/㎡
I社: 各上塗り2回での価格;
●シリコン 10年~12年 ¥2,000/㎡
J社: 各上塗り2回での価格;
●水性シリコン系塗料 ¥2,200/㎡
●弱溶剤シリコン系塗料 ¥2,400/㎡
●強溶剤シリコン系塗料 ¥2,800/㎡
K社: 各上塗り2回での価格;
●遮熱シリコン ¥2,600/㎡
L社: 各上塗り2回での価格;
●水性シリコン ¥1,700/㎡
●溶剤シリコン ¥1,900/㎡
M社: 各上塗り2回での価格;
●シリコン ¥1,800/㎡
今最も人気のある、コストパフォーマンスの良いシリコン塗料についての比較検討
スレート屋根塗装の、シリコン系塗料での相場を完全に網羅しているとは、言えませんが、おおよその傾向や相場感がわかるのではないでしょうか?ここで気がつくのは、下塗りが含まれた価格と、上塗り塗料での2回塗り価格が混在していることです。
下塗りは、下地がスレート屋根、スレート材なので、浸透して上塗り塗料がしっかりスレート材に固定させるものを使用することが重要です。この浸透シーラーというものを使うと、その下塗り塗料としての費用も含めて比較する必要があります。
このシーラーの費用を、¥700/㎡として加算して、下塗り1回、上塗り2回の3工程で比較してみます。 一口にシリコン塗料といっても、いろいろあることに驚かされますが、これらの12社で、シリコン系塗装でのスレート屋根本体の費用が一番低いものは、 G社の弱溶剤1液型シリコン塗装ファインシリコンベスト(日本ペイント)¥1,900/㎡です。
この会社は、スレート屋根の塗装費用では、下塗り+上塗り2回での価格を表示しています。では一番高価なシリコン塗装はというと、J社の「強溶剤シリコン系塗料」 ¥2,800/㎡、これは、上塗り2回のみの価格なので、スレート屋根用のシーラー¥700/㎡を加算して、¥3,500/㎡になり、一番高価な塗装価格です。
しかし、この使用する塗料の仕様が不明です。で次に高くて塗料の仕様が明白なのは、●弱溶剤2液型シリコン塗装;快適サーモSI(水谷ペイント)¥3,200/㎡、シリコン塗装の相場が¥2,000/㎡とすると、その価格差は、¥1,300/㎡もあります。
水谷ペイント株式会社の屋根用高日反射率塗料の「快適サーモシリーズ」のシリコン樹脂塗料で、遮熱機能を持った塗料で、耐用年数;10年~13年程度、他の機能は、高耐変色性、防カビ、防藻機能がついています。
日本ペイント;ファインシリコンベストのカタログをみると、住宅化粧スレート屋根専用と言ってよいほどスレート材に特化した塗料であることが書いてあります。機能としては、耐UV(紫外線)機能の強化、防カビ、防藻機能です。
耐用年数は記述がありませんが、シリコン塗料であることから10年程度と思われます。すると、快適サーモシリーズとの大きな違いは、遮熱機能となります。遮熱機能の違いだけでこの塗料を使うメリットを感じるか?です。他の塗料にも遮熱の機能を持った製品があり、少し高い価格に設定されていますが、この遮熱については、解説が必要なようです。
フッ素系塗装での比較:
参考にフッ素樹脂塗装の価格を載せておきます。フッ素樹脂塗装の塗装費用は、仕様の下塗り塗料を含めて、おおよそ¥5,000/㎡程度と思われますので、それ以下の費用では、フッ素樹脂塗料ではお得かもしれません。
B社:各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●水性フッソ樹脂塗料 水性 ¥3,800/㎡
●2液型フッソ樹脂塗料 ¥4,500/㎡
●水性フッソ樹脂塗料 ¥5,100/㎡
C社: 上塗り2回のみの価格、費用
●水性遮熱フッ素系塗料 ¥3,200/㎡
●ターペン可溶2液型フッ素系塗料 ¥2,900/㎡
●ターペン可溶2液型遮熱フッ素系塗料 ¥2,900/㎡
E社: 各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●AGCコーテック、最高級フッ素 ¥5,700/㎡
F社: 各塗料の仕様の下塗り+上塗り2回で;
●フッ素塗装 ¥3,800/㎡
J社: 上塗り2回のみの価格、費用
●弱・強溶剤フッ素系塗料 ¥3,800/㎡
●弱溶剤フッ素系塗料(遮熱タイプ) ¥3,800/㎡
K社: 上塗り2回のみの価格、費用
●遮熱フッ素 ¥3,400/㎡
フッ素樹脂塗料も、各社費用の出し方が違っていて、下塗りを含んだ費用を示しているのは、B、E、F社で、特に価格的には、B社の「水性フッ素樹脂塗料 水性」、F社のフッ素塗装の¥3,800/㎡が有利です。
スレート屋根を再塗装しようとしたとき、考慮するべき重要なこと
スレート屋根材メーカーのカタログ(メーカーといってもKMEWですが)には、塗装するサイクルが書いてありますが、塗装は美観の為にするとしていて、耐用年数を延ばす、寿命を長くする為とは書いていませんし、塗装では耐用年数を延長できないのです。
また、スレート屋根の寿命は、スレート材の耐用年数ではありません。耐用年数とは、一つは雨漏りが始まる、または防水の機能を失う時期です。そしてもうひとつは、家の美観を保てなくなる時期です。 防水の観点、雨漏りのことを考えるとスレート材料は、防水の機能はありません。
スレート屋根を雨漏りから完全に守っているのは、実はルーフィング(防水材)です。これが寿命をすぎると、例えスレート屋根材が、なんともなくても雨漏りは発生します。スレート屋根の寿命はルーフィングの寿命であって、スレート材ではありません。
ですからスレート屋根の塗装は、スレート屋根の寿命とは全く関係がないのです。 もう一つの重要な耐用年数、家の美観では、塗装によって美観を維持できます。塗装が剥げてみっともなくなった、スレート材には、問題ないが、そろそろ塗装のやり直しをしよう・・・正しい行為です。
しかし、ここで考えて欲しいのは、築20年で、塗装がかなり剥げてきたので、再塗装をするときに、耐用年数の長い高機能で高価なフッ素塗装とか、遮熱機能の塗装が必要でしょうか?
スレート屋根は、20年でそろそろ寿命です。寿命とは、ルーフィングの寿命ですが、勿論20年ですぐにおしまいにはなりません。30年大丈夫な屋根もあれば15年で雨漏りが発生する屋根もあります。そろそろ雨漏りに気をつけて欲しい年齢です。
そこへ耐用年数 15年のフッ素で遮熱機能の塗装をして、お得でしょうか?もし、25年でルーフィングがだめになって、葺き替えになったら、高機能の塗装が無駄になりはしませんか?このポイントを抑えてほしいです
- スレート屋根の塗装は、美観の回復です。
- スレート屋根を塗装しても、スレート屋根の寿命は長くなりません。
- スレート屋根の塗装は、スレート屋根(ルーフィング)の耐用年数を考慮して、塗料を選んでください。
以上です。